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安心R住宅連載コラム 第四回

2023/10/16

安心R住宅連載コラム 第四回

#住まい #メンテナンス #リフォーム #リノベーション #省エネ

寄稿者

中山 登志朗

株式会社LIFULL
LIFULL HOME'S総合研究所
副所長 チーフアナリスト

LIFULL HOME’S総研、兼安心R住宅認定団体「安心ストック住宅推進協議会」理事の中山です。前回、安心R住宅は特に居住快適性やリフォーム&リノベーションによる築後経過年数のリスクヘッジ、また安全性や安心感などにおいても有意性があり、相対的に一般的な中古住宅よりも資産性が高いことを説明しました。

今回はその延長線上にある居住快適性を具体的に高める省エネ性能・断熱性能について、ご一緒に考えてみたいと思います。

安心R住宅の省エネ性能は今後さらに高くなる?

前回もご説明した通り、安心R住宅は一般に既存住宅の「古い・汚い・性能面が不安」と言われるマイナスイメージを払拭するための手段として国が制度化したもので、安心して住み続けられるだけの基本的性能が維持された住宅であることをアピールするものです。この基本性能にいわゆる省エネ性・断熱性がどの程度考慮されているのかというのが今回のテーマです。

安心R住宅は耐震性が現行の基準を満たしており、インスペクション済で瑕疵保険加入の用意もあり、リフォーム済であるかリフォームプランが予め用意されています。今回重要なのはこのリフォーム済、もしくはリフォームプランの用意なのですが、居住するために必要な基本性能が一定の水準を維持していることが住宅のアピールポイントである一方、これからは省エネ性・断熱性に特に着目する必要が出てきました。

それは、2025年4月から実施される新築住宅の省エネ基準適合義務化です。新築住宅だから安心R住宅は関係ないじゃないか、省エネ基準に適合していなくても基本性能は一定の水準を満たしているんだからそれで十分だろう、との声も聞こえてきますが果たして本当にそうでしょうか。


実は2025年4月の省エネ基準適合義務化に先駆けて、1年前の2024年4月から省エネ性能表示制度がスタートすることが決まっています。この制度は義務ではありませんが、この住宅の省エネ性能がどの程度のものであるのか、星の数6段階でエネルギー消費性能を、また数値7段階で断熱性能を示すラベルを購入予定者に提示する仕組みです。もちろん上記の通り原則として新築住宅に求められる性能表示ですが、中古住宅においてもその活用は大いに推奨するというのが国の立場です。

この制度がスタートすると、省エネ性能や断熱性能の詳細について特段の知識がなくても、エネルギー消費性能が星4つより星6つのほうが良い、断熱性能も4等級より6等級のほうが良いに決まっているということは誰でも分かるようになるわけです。つまり、これまで目に見えなかった省エネ性能や断熱性能の違いを可視化する制度ですから、新築・中古の別なく、住宅購入者の省エネ性能への関心が一気に高まることが考えられるのです。


"安心R住宅だから"ではなく、"安心で快適な住まいだから"差別化できる

LIFULL HOME’S OWNERSの読者各位は、既にご自宅を購入し所有されている方ばかりですから、現在居住している住まいの省エネ性能や断熱性能がどれくらいの程度なのかはわかっている(はず)ですが、中にはリフォーム済できれいだったから、インスペクション済で瑕疵保険にも加入できて安心だから購入された方もいらっしゃると思います。

また、住宅の性能についてこれだけ関心が高まり、2050年のカーボン・ニュートラルを実現するためには温室効果ガスの排出を大きく減らさなければならないということは理解していても、では実際に自分にできることは何かというと、なかなか思いつかないこともあるかと思いますが、まさに今お住まいの住宅の省エネ性能・断熱性能を高めることが、将来の温室効果ガスの排出削減にも寄与することになります。

もちろん断熱改修を実施するにはコストがかかりますが、コストをかけた分毎月の光熱費を安価に抑えることができますから、断熱改修と光熱費はトレード・オフの関係にあるわけで、住まいのランニング・コストをトータルで考えるという発想が求められます。温室効果ガスの排出の削減にも貢献できるわけですから一石二鳥ですね。

さらに、断熱改修は住宅内の寒暖差を抑制する効果があり、冬場のヒートショックおよび夏場の熱中症を防ぐうえに、断熱性が高いことで結露がなくなるため、カビ・ダニの発生を抑制できるというメリットも証明されています。この健康上の効果も加えると一石三鳥です。


安心R住宅は、制度が開始された際は中古住宅の“不安・汚い・わからない”といった不信感を払拭することを目的としていましたが、現状は、住宅に対して高い省エネ性能・断熱性能が求められるように社会が変わり始めています。この事実を認識して、“安心R住宅+α”としての断熱改修を実施することを今から是非ご検討ください。建物のハードとしての安心・安全は、耐震性や防蟻性、防犯性といった要素だけでなく、今や省エネ性や断熱性にも拡大しています。そして、より快適で暮らしやすい住宅にヴァージョンアップすることが、結果的に将来の資産性を維持することに繋がるのです。

中山 登志朗(なかやま としあき)

株式会社LIFULL
LIFULL HOME'S総合研究所
副所長 チーフアナリスト

出版社を経て1998年よりシンクタンクにて不動産マーケット分析、知見提供業務を担当。不動産市況分析の専門家としてテレビ、新聞、雑誌、ウェブサイトなどメディアへのコメント提供、寄稿、出演を行うほか、年間数多くの不動産市況セミナーで講演。
2014年9月にHOME'S総研(現:LIFULL HOME'S総研)副所長に就任。国土交通省、経済産業省、東京都ほかの審議会委員などを歴任。(一社)安心ストック住宅推進協会理事。

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